愛していたが結婚しなかったアーシャ

コルホーズの賄い婦アーシャは、昨年の収穫期に援農に来ていた青年サーシャから結婚を申し込まれた。サーシャは町の新しいアパートで一緒に暮らそうという。しかし、アーシャは既に妊娠していた。彼女が愛していたのはトラック運転手のステパンだったのである。が、ちょっとハンサムだが軽薄で無責任なステパンは以前から献身的なアーシャのことをうとましく思っていた。 サーシャは全て承知の上で、生まれてくる子供も引きとる覚悟でアーシャに結婚を迫った。誕生日のプレゼントも欠かさない。だが、愛していない男との結婚は考えられない。 ある夜、急に産気づいたアーシャは野外の藪の陰で出産した。その時、自分の手でわが子を抱いたステパンの胸は初めて揺れ動いた。しかし、既にアーシャの心は決まっていた。ステパンと一緒になっても幸せになれない、そう彼女は考えたのである。

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