小さな中国のお針子
文化大革命当時の中国、裕福な家庭の子供達は、再教育という名目で田舎の村へ送られ、肉体労働に従事することが義務づけられていた。
山奥にひっそりと息づく寒村に送られた二人の若者は、畑仕事や鉱山での重労働に耐える日々を送っていたが、ある日、村々を巡回している仕立て屋についてこの村にやって来た美しい孫娘に恋してしまう。
厳しい規律や、古いしきたりが幅をきかす小さな村で、たとえどんな境遇であろうと青春を楽しむ旺盛な活力が、巧みに交錯しながら、淡い恋物語が進展していく。10年以上も前になるが、イギリスの作家ジョン・ゴールズワージー原作の「林檎の樹」を映画化した「サマー・ストーリー」という瑞々しい傑作があったが、ふとそれを思い出す。
都会育ちの青年と、まったく純な田舎の娘。その両者の間に生まれる恋は、その特殊な環境があってこそ成就されるものなのだろうか。時をへだてて、その時の村がダム工事により湖底に沈むことを知った、かつての若者は、いたたまれずに懐かしい村を訪れる。
その時に彼の胸にあ