『暗殺の森』や『ラストエンペラー』等で世界中から称賛と尊敬を得るベルナルド・ベルトルッチ監督の最大の問題作『ラストタンゴ・イン・パリ』の撮影の裏側と、その撮影で一生消えない傷を負った女優マリア・シュナイダーの人生を描く『タンゴの後で』より、場面写真11点が解禁された。
1970年に公開された『暗殺の森』が世界中の批評家から大絶賛されたベルナルド・ベルトルッチ監督が、次回作として取り組んだのが、性の解放の闇を描いた『ラストタンゴ・イン・パリ』。妻に自殺された中年男をマーロン・ブランドが演じ、彼の逢瀬の相手となる若いジャンヌを演じたのが当時19歳で、女優経験が浅いマリア・シュナイダーだった。詳細を知らされずに行われた過激な絡みのシーンはマリアに衝撃を与え、また、映画公開後におこった世論からの非難と侮蔑の視線にマリアは必死に反論するも、彼女の声が届くことはなかった…。



主人公マリア・シュナイダーを演じるのは、10歳で映画デビューした『ヴィオレッタ』や『あのこと』で注目を集め、今年公開された『ミッキ―17』に続き、話題作への出演が続くフランス映画界の若きスター女優、アナマリア・ヴァルトロメイ。そして、マーロン・ブランドを演じるのは、『アウトサイダー』で多くの映画ファンを魅了し、その後も『ドラッグストア・カウボーイ』や『シングルス』、『メリーに首ったけ』等で様々な役柄を演じるマット・ディロン。ブランドは自身のアイドルだったと公言するディロンは、撮影後に「どうしてこんなことができたんだ」と話している。



そして、ベルナルド・ベルトルッチ監督をイタリアを中心に活躍するジョゼッペ・マッジョが演じ、トラウマで心身ともに病んでいくマリアをパートナーとして支えるヌールをセレスト・ブランケルが努め、一途にマリアを守る姿が胸を打つ。また、『さよならモンペール』や『素足のマリー』で初々しい笑顔を見せていたマリー・ジランと『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』や『ふたりのマエストロ』のイヴァン・アタルがマリアの両親を演じている。



2011年に58歳で闘病の末に亡くなった女優、マリア・シュナイダーのいとこヴァネッサ・シュナイダーは、幼少の頃に女優となったマリアの人生とその終焉に立ち合い、2018年に「あなたの名はマリア・シュナイダー :「悲劇の女優」の素顔」(早川書房・刊)を執筆した。“70年代最大のスキャンダル”で失意のどん底に突き落とされ、薬物依存に陥りながらも、演じることを続けたマリアの人生を、本人、家族、そして最後までマリアの味方となったアラン・ドロンやブリジット・バルドーの言葉や、後年のベルトルッチの謝罪やブランドとの信頼関係にも言及する。

#metoo運動がおこる中でマリアのインタビューが掘り起こされ、届かなかった彼女の叫びと訴えに注目が集まった。そして、今フランスでは、彼女の復権とエンタメ業界の問題の改善が取り組まれている。
9月5日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開